【集中タイムの訪れと、忍び寄るモフモフ】
締め切り直前のカタカタというタイピング音。 画面に向かって真剣に作業を進める飼い主の背後から、静かに、しかし確実な足取りで近づいてくる気配があります。
「いま一番忙しいから、ちょっとだけ待ってね……」
そう声をかけた瞬間、猫のスイッチが入ります。 人間の「いま構えない」という空気ほど、猫にとって魅力的なフェロモンはありません。
【なぜそこを選ぶのか:キーボードという名の特等席】
広いデスクの隅でも、空いている椅子でもなく、狙うのはピンポイントで「両手とキーボードの間」。
するりと腕の隙間に割り込み、絶妙な体重移動でキーボードの真上へ着地。 ほんのり温かいキートップの感触を確かめるように、前足を器用に揃えて座り込みます。
その瞬間、画面には激しい変化が訪れます。
「お世話になっております。本件の進捗ですが、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
長押しされた「A」キーの連打。 そして、絶妙な肉球の重みで、決定的なキーが押し込まれました。
パチン(Enter)

【猫のひとりごと:優秀なアシスタントより】
「人間よ、なぜ頭を抱えているのだ? ずっとカタカタとぎこちなく指を動かしていたから、私が手伝ってやったというのに。
見よ、この流れるような『ああああああ』の美しさを。 そして、最後の決定打。私の肉球が放った完璧なEnterキーの響きを。
お前が画面ばかり見つめて私を見ないからではない。 すべては、お前の仕事を早く終わらせて、チュールを献上させるための高度な業務効率化なのだ」
悪びれる様子は微塵もなく、むしろ「感謝してくれてもいいのだぞ」と言わんばかりの誇らしげなドヤ顔。 顎をクイッと上げ、目を細めて喉を鳴らしています。
【飼い主の視点:取り消せない送信と、許してしまう可愛さ】
幸いにも誤送信先が社内チャットだったため、 「すみません、猫が送信キーを押しました」 という言い訳(事実)と共に、猫のドヤ顔写真を添えて事なきを得ました。相手からも「癒やされました」と返信が届き、結果的に場の空気が和む始末。
仕事の邪魔をされたはずなのに、キーボードの上で満足そうに香箱座りを決め込む姿を見ていると、怒る気力など最初から湧いてきません。
「キーボード(占領中)」と「謎の文字列(画面いっぱい)」。
デスクワークの効率をゼロにする最強の妨害工作員は、今日も悪びれずに我が家の業務をサポート(?)してくれています。
【読者の皆さんへ】
猫飼いテレワーカーの皆さん。 皆さんの愛猫がこれまでに打ち込んだ「謎の暗号」や、冷や汗をかいた誤送信エピソードはありますか?
「うちの子はBackspaceで原稿を全消ししました」「なぜか画面が上下反転しました」など、キーボードにまつわる大惨事(癒やし)の思い出を、ぜひコメント欄で教えてください!


